研究分担者 |
竹原 直道 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (00038879)
中垣 晴男 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (10097595)
雫石 聰 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00028789)
山下 喜久 九州大学, 大学院歯学研究院, 教授 (20192403)
齋藤 俊行 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (10170515)
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研究概要 |
本研究は、わが国において歯周疾患が全身の健康に及ぼす影響を研究している研究者が一同に集い、情報交換し、疫学理論に基づいて因果関係を明らかにすることを目的としている。研究期間において、以下の研究成果があった。 1)分析疫学 新潟市高齢者コホート集団(600名)に対し78歳時の追跡調査を行い,歯周病と血液マーカー,栄養摂取,生活習慣などとの関連を解析した結果,血清ビタミンC,カルシウム,アルブミンレベルが歯周破壊進行に影響することが示唆された(宮崎が担当)。 高齢者を対象に咀嚼習慣とアディポネクチンおよびレプチンとの関連性を調べた。早食いをせず、噛む回数を多くすることは、これらホルモンの動態とリンクしていた(竹原と安細が担当)。 歯周疾患をもった者の血液所見と喫煙習慣との関係を分析した結果、今後歯周病をスクリーニングする際にはCRP値も考慮した方が良いという結論が得られた(中垣が担当)。 住民検診受診者を対象にして、歯周病がメタボリックシンドロームと関連しており、歯周病患者では肥満に関連したアディポサイトカインのうちレジスチンが高い可能性を指摘した。(山下と齋藤が担当)。 2)実験疫学 歯周病菌Pgによる感染が、LDL-Cholの上昇に関与する可能性が示唆された。その機序として、歯周感染によって産生されたTNF-αやIL-6がHMG-CoA還元酵素遺伝子の発現量を増加させることで、コレステロール合成を促進する可能性が考えられた。(西村が担当)。 細菌内毒素を歯肉溝に塗布し、歯周炎を惹起したラットモデルにおいて、脳・心臓・腎臓および肝臓の酸化ダメージが起きることを示した(渡邊、山本、友藤が担当)。 唾液タンパク質スタセリン上の最小結合部位ペプチドは、F.nucleatum菌体表層タンパク質のporinタンパク質FomAと結合し、この菌体表層タンパク質と粘膜アジュバントコレラトキシンをマウスに同時経鼻投与したとき、粘膜部だけでなく全身系において抗原特異的免疫応答が誘導されることを証明した(雫石が担当)。
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