研究概要 |
平成19年度に開始した複合型のサポート・プログラム「がんサポートルーム」を平成21年6月まで1年間運用した。終了後に、MAC,FACIT-SP,終了後アンケートなどの調査を実施した。プログラム開始前中後の40名の参加者のデータ分析を行った結果、以下のことが明らかとなった。1)MACの結果はプログラム参加前中後で有意な変化は認められなかった。しかし、FACIT-SPは情緒的側面とスピリチュアルな側面で有意に変化しており、プログラム参加によってQOLが向上する可能性が示唆された。2)参加者の約7割程度は満足しており、アンケートの記載や参加者へのインタビューから、「出かける場ができた」、「専門職者や仲間がいることでの安心感」、「自信の取り戻しやリラクセーションに繋がった」という結果が得られた。本プログラムが参加者にとって、療養生活を支えたり、社会復帰の支援をする場として意義をもつことが明らかとなった。3)ハンド&フットケアやヨガなど、身体に関わるプログラムは参加者の満足度も高く、癒し効果も示唆されたことから、サポートプログラムとして有用であることが示された。4)このようなプログラムを運営するためには資金や人材が必要であるが、運営の核となるファシリテーターが必要であり、そのための教育も必要である。また、転移した患者、あるいは終末期に近い状況にある患者の参加ニードがあり、プログラム体験をしてもらった経緯から、本プログラムは緩和ケア・プログラムとしての可能性もあることが示唆された。上記の結果も含めて、サポート・ニードの探究及びサポート・プログラムの構築、運営、評価に関する本研究の全貌を報告書としてまとめた。
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