研究概要 |
インドおよび東南アジア大陸部で話される下記の少数民族言語についての研究を行った. ドラヴィダ系 南インドのトダ語・バダガ語,北インドのクルフ語・マルト語,ガダバ語など. オーストロアジア系 東北インドのカシ語・北インドのムンダ諸語,タイ東北部のクーイ語など. チベット=ビルマ系 ミャンマー北部のロンウォー語・ラチッ語など. 研究のテーマは,次の3つに大別することができる. (A)少数民族語の音韻・形態・語彙・文法記述 過去に蓄積された南アジア・東南アジア語彙調査票および文法調査票の内容について検討した.同調査票に基づき,各分担者がそれぞれの対象言語の語彙体系や文法構造を調査した.特に集中的に調査研究を行った文法現象として,トダ語・クルフ語・マルト語の動詞の活用,クーイ語・ロンウォー語の名詞句構造,クーイ語の動詞連続,ロンウォー語の格標識・文法化などが挙げられる.トダ語・ガダバ語など一部の言語については,調査の前提となる音声の研究を行った. (B)言語文化層の記述 各言語独自の文化語彙・あるいは方言特有の語彙・語法を抽出すると同時に,各言語における民話・口承文芸・自然会話の採録や,伝統歌謡・音楽の音源収集なども行った. (C)少数民族言語と隣接言語との相互影響 上記諸言語の使用状況の調査,借用語,語法の研究などを通じて,国家および州の公用語との接触の様態を明らかにすることにつとめた. また,インド政府人的資源省インド諸語中央研究所(CIIL)の研究者とともに,インドの少数民族言語の記述および言語間の相互作用に関する共同研究を行なった.
|