研究課題/領域番号 |
17251008
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
西藤 清秀 奈良県立橿原考古学研究所, 調査研究部, 研究員 (80250372)
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研究分担者 |
樋口 隆康 奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
篠田 謙一 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (30131923)
濱崎 一志 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (00135534)
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (20108723)
吉村 和昭 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第2課, 主任研究員 (10250375)
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キーワード | 家屋墓 / 地下墓 / 塔墓 / 修復 / 葬送用彫像 / 家族墓 / DNA / ヤルハイ |
研究概要 |
パルミラの葬制の変化に関わるさまざまな要素にかかわる研究の中で今年度は、基の構造の変化を考えるべく東南墓地に所在する家屋墓186号墓の精査・実測調査(平面・立面)を実施した。精査の際、土製ランプが出土し、家屋墓の建造年代の一端を知ることができた。つまり、パルミラの墓がなにゆえ塔墓から地下墓、地下墓から家屋墓へと時間的推移とともに全く形態を異にしながら変化するのか。墓の形態の変化は、パルミラの都市形成の推移と連動していることが考えられるようになった。 さらにすでに発掘調査を実施した地下墓の修復を通して、地下墓の構造の詳細な資料を得ることができ、従来、地下墓の入口にあたる階段の仕様が普遍性の中に存在することが考えられるようになった。また、この修復を通して葬送用彫像が埋葬施設である棺棚にはめ込まれる方法も復元することができ、埋葬の最終段階の様子が理解できた。 また、パルミラH号墓出土人骨の調査の継続とH号墓出土遺物の調査を実施し、人骨では家族墓として営まれているパルミラの墓の科学的に家族関係を見出したく、DNA抽出用の歯を選別した。 加えてパルミラでは初期の地下墓の葬送用胸像は、オーダーメイドで死者に似せて作られているとも言われ、後出する家屋墓での胸像は、レディーメイドで間に合わせていると言われているが、その真偽を検討するため、C号墓のヤルハイという名を記した碑文を有する胸像がはめられた棺棚から検出された頭骨の3次元レーザ実測をおこない、複顔への準備のためのデータ収集を実施した。
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