研究課題/領域番号 |
17251008
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研究機関 | 奈良県立橿原考古学研究所 |
研究代表者 |
西藤 清秀 奈良県立橿原考古学研究所, 調査研究部, 研究員 (80250372)
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研究分担者 |
樋口 隆康 奈良県立橿原考古学研究所, 所長 (30025035)
中橋 孝博 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (20108723)
篠田 謙一 国立科学博物館, 人類研究部, 室長 (30131923)
濱崎 一志 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (00135534)
吉村 和昭 奈良県立橿原考古学研究所, 調査第1課, 主任研究員 (10250375)
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キーワード | パルミラ / 北墓地 / 家屋墓 / 3次元スキャニング / 東南墓地 / 地下墓 |
研究概要 |
シリア・アラブ共和国、パルミラ遺跡の北墓地および東南墓地において調査を実施した。 北墓地では3次元スキャニング・システムによる129-b号家屋墓の現状のデータ化をおこなった。その後、データ化が終了した石材の移動と復元形状に合わせた石材の並び替えをおこなった。これらの作業から下記の事項が理解できた。 1.129-b家屋墓は、方形プランで幅12.09m、奥行き11.85mである。 1.切妻の屋根を持ち、高さは約12.5mである。 2.入口は西に設けられ、ハの字の階段が取りつく。 3.各壁には各3箇所の擬似窓が設けられる。 4.壁石材の外・内側を構成する両面とも丁寧な仕上げがなされ、他の家屋墓とは異なる。 以上が2006年度の調査内容であり、今後の調査でその内容は変わり得ることを記しておく。また今後の3次元スキャニングと発掘調査を通して石材がどのように重なり合い、それがどのような状況で元に戻せるのかを判断したいと考えている。 東南墓地においては修復・復元されたF号墓とH号墓の3次元スキャニングを実施したが、予想以上に良好な画像を提供してくれることになった。特にこの画像は、地下墓を見たことのない人々が地下墓とはどのようなものなのかを理解するには最良の方法であり、また地下墓を知っている人々にとってもさまざま角度・局面から地下墓を見ることができるため、より一層の理解を深めさせることができる。これは社会教育的な効果を生み出すと考えられる。また、3次元のデータは、学術的に正確な数値が得られ、尺度をはじめとして地下墓構築・施工にかかわる研究に大いに貢献できるものと考えられる。このように3次元計測・画像は、歴史的記念物を手近に引き寄せ、多くの思考法を生み出す可能性を有している。 さらに、すでに発掘調査を終えた東南墓地H号墓の人骨の調査を実施し、人骨の基礎的な計測データの収集をおこなった。
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