研究課題/領域番号 |
17251010
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
石原 潤 奈良大学, 文学部, 教授 (70080265)
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研究分担者 |
秋山 元秀 滋賀大学, 教育学部, 教授 (00027559)
小島 泰雄 神戸市外函語大学, 外国学研究所, 助教授 (80234764)
小野寺 淳 横浜市立大学, 国際総合科学部, 準教授 (50292206)
松村 嘉久 阪南大学, 国際コミュニケーション学部, 助教授 (80351675)
高橋 健太郎 駒澤大学, 文学部, 講師 (30339618)
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キーワード | 中国西北地区 / 甘粛省 / オアシス空間 / 酒泉 / 西部開発 / 改革開放 / 新農村建設 / 退路進庁 |
研究概要 |
今年度は、甘粛省の西北部に位置し、旧シルクロードの一部をなす河酉廻廊に沿うオアシス都市酒泉と、その周辺の農村部を調査対象地域とした。対象地域は、チーリエン山脈の雪解け水が作る奈良盆地とほぼ同じ広さのオアシスで、人口約15万の酒泉の町と、その周りの農村空間から構成される。 改革開放政策と近年の西部開発政策により、西北部辺境の当地域でも大きな変化が認められるが、それらは、以下のように、マダラ模様を描きつつ進行している。 (1)酒泉の町は地区級市として、極めて広域を管轄する行政中心となり、多数の行政機関が集中し、そのモダンなオフィスが次々と建設されている。(2)気候環境の悪い玉門の石油鉱業地区に対して、酒泉が本社所在地兼労働者・技術者の居住地区に選ばれ、3万人の市街地が付加された。(3)人口の増加と所得の向上に対応して、酒泉の町には、各種の卸売り市場、百貨店を含む各種の小売商店、いくつかのスーパーマーケットなどが立地している。ただし、生鮮食料品に関しては、いまだに露天市が残っており、「退路進庁」政策は、道半ばである。(4)オアシス空間の農業は、輸出・移出用たまねぎ生産、種子用野菜.花卉生産により、農民所得のかなりの向上をもたらした。(5)近年、当地でも「新農村建設」が、叫ばれているが、その実態は、今のところ農家の集団建替えを意味するにすぎない。(6)農村部には多くの定期市が分布しているが、近年モータリゼーションの影響が出始めており、商人の移動が長距離化し、かつ選択的になりつつある。(6)ただし、観光開発に関しては、豊かな潜在資源の存在にもかかわらず、いまだ緒に付いたばかりである。(7)農村部住民にとって都市は心理的に「近い」存在となったが、都市部住民にとっての農村は「遠い」存在になりつつある。
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