研究課題/領域番号 |
17251011
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
植野 弘子 東洋大学, 社会学部, 教授 (40183016)
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研究分担者 |
三尾 裕子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (20195192)
五十嵐 真子 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (50330410)
笠原 政治 横浜国立大学, 教育人間科学学部, 名誉教授 (70130747)
松金 公正 宇都宮大学, 国際学部, 准教授 (50334074)
上水流 久彦 県立広島大学, 生命環境学部, 助教 (50364104)
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キーワード | 台湾 / 日本認識 / 文化人類学 / 歴史人類学 / 植民地主義 / 歴史認識 / 異文化接触 / 台湾原住民族 |
研究概要 |
今年度は、前年度に引き続き、台湾と日本の関係性に加えて、中華・中国と台湾との関係性をも視点に入れて、植民地期・ポストコロニアル期における台湾の人々の「日本」認識の研究を行った。 また、最終年度であるため、成果の公開を重視し、東アジアの植民地主義の比較研究を目指して、他の科研チームとの合同シンポジウム<東アジアの植民地主義:文化・技術・移動-日本認識をめぐって->を開催した。さらに、4年間の研究成果の公開として、シンポジウム<台湾における植民地主義と「日本」認識-歴史・人類学研究>を行った。今年度の調査研究の成果は、以下に要約される。 第一に、台湾入のもつ「日本」認識が、いかに歴史認識・社会の変化のなかで操作されるかについて、日本語世代への聞き取り、地域社会における日本時代の記憶の「歴史」化、戦後の日本仏教との接触などから、具体的に明らかにした。第二に、宗主国日本と「近代」の関連性への認識について、文化・教育・技術に関する検討から、日本が「近代」的なものをもらしたとする認識もみられるが、伝統的慣習のなかで暮らす人々の日常、またその背後にある中華・中国との関係の検討の重要性が指摘できた。第三に、台湾における中華・中国認識については、博物館・古蹟指定からの分析が進み、操作される「日本」認識がより明確になった。第四に、原住民族と「日本」認識に関して、日本人からみた台湾原住民観について、慣習の否定や調査研究から検討なされた。また、抗日運動にみられる原住民族の日本認識にも検討が加えられ、日本人と原住民族との交渉に関する具体的な資料の整理が進められた。第五に、植民地期の在台日本人について、当時の日常生活とポストコロニアル期の彼らによる台湾と関連する諸活動を追うことで、植民地主義研究の視点をより多角的で広範なものとした。
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