研究課題/領域番号 |
17251012
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中林 伸浩 金沢大学, 文学部, 教授 (30019848)
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研究分担者 |
松園 万亀雄 国立民俗学博物館, 館長 (00061408)
小馬 徹 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (40145347)
小田 亮 成城大学, 文芸学部, 教授 (50214143)
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キーワード | 家財産制 / レビレート / 行政首長 / 文化首長 / 民族表象 / 民族混住 |
研究概要 |
アフリカにおける政治的、経済的な「自由化」の影響は、国家レベルから徐々に地域社会や民族文化といった底辺部へと浸透してきている。ケニアにおいて女性に財産の相続権を与えようとする法律が行われようとしているが、われわれの調査によれば、このことがこれまで氏族中心、男子中心だった家族形態(家財産制)と衝突をおこしている。これはまた、寡婦の伝統的な再婚制度(レビレート)との不整合も生んでいる。行政制度の近代化では行政首長の権限のスリム化が、これまで政治の権威主義が規範的であったケニアの地域社会では問題になっている。ウガンダではこの10年ほど伝統的、文化的リーダーが復活しているが、これまでは避けられてきた民族性と政治の関係を議論することが公然と行われるようになった。南アではアパルトヘイト後、アフリカ人の民族性の表象が盛んになった。西欧的地名をアフリカ的地名に変えたり、建築や衣装における装飾にアフリカ性が強調されるようになった。ケニアやウガンダでの民族の移住と混住には、いくつもの特徴的な事象がある。西ケニアでの石彫産業ではカンバ人とグシイ人の相互影響はプラスの意味がある。他方、キクユ人のカレンジン地域への移住、ガンダ人のブニョロ地域への拡大は国レベルにまで響く政治的緊張を生んでいる。以上がこの間のわれわれのグループによるエスノナショナリズム関連の研究調査である。
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