1)中国西部地区農村として最南部の雲南省、西北部の甘粛省をそれぞれ選び、両省の社会科学院社会学研究所を中心とする研究機関と連携しながら、この4年間に合計5箇所の貧困村において大規模な農村実態調査を実施したが、平成20年度は雲南省南華県の2回にわたる調査において約400戸、および甘粛省武山県において300戸を対象に貧困農村の生産、就業、教育状況を中心に調査を実施した。とくに南華県においては現地関係者による積極的協力の下に、きわめて質のいい調査データを収集することができた。 こうした農家調査以外にも、対象とする各県において県の政府機関、病院、学校など各種施設を訪問し、聞き取り調査を行った。このようにして収集したデータは中国貧困農村データベースとして整理、収録し、研究会メンバーの実証分析に活用されると共に、他の中国農村調査データベースと接続し、日本の多くの研究者にも提供される運びとなる。 2)平成20年度には静岡県伊東市と東京において2回のワークショップを開催し、通訳を交えずに中国語による討論を行った。原則として日中双方の全ての研究者が当該地域農村の貧困問題について、また収集した農家調査データに基づく研究について、それぞれ報告し議論した。また日本における数人の当該問題研究者を招待し、研究交流を行った。 3)今年度は最終年度に当たるが、この4年間に得られた貴重なデータをもとに日本側研究者が現在分析中で、いずれ出版助成を得て研究報告書を出版したいと考える。 4)参加した連携研究者は以下の通り:加藤弘之(神戸大学経済学研究科教授)、新保敦子(早稲田大学教育学部教授)、厳善平(桃山学院大学経済学部教授)、阿古智子(学習院女子大学准教授)、張瓊華(国際基督教大学教育研究所研究員)、中岡まり(常磐国際大学講師)、羅歓鎮(東京経済大学准教授)
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