研究分担者 |
中兼 和津次 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80114958)
丸川 知雄 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (40334263)
唐 成 桃山学院大学, 経済学部, 准教授 (20424187)
加藤 弘之 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (70152741)
梶谷 懷 神戸学院大学, 経済学部, 准教授 (70340916)
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研究概要 |
一昨年度と昨年度に引き続き,個票データの利用や収集が必ずしも容易でない中国,かつその内陸部農村地域の調査を,四川省社会科学院農業経済研究所の協力を得て行い,四川省江油市農村地域206戸×3年,同小金県農村158戸×3年のパネルデータ(3年間継続して調査できたのは前者が142戸,後者は127戸)を構築した.中国の内陸農村地域は沿海や都市部に比べて長い間伸び悩み,利子補填融資,財政支援,雇用創出を柱としてきた貧困支援策のほか,現在は「新農村建設」政策が打ち出されている.そうした環境下の住民の行動を「開発のミクロ経済学」を理論ベースとして分析し,以下のような知見が得られた. 1.山間部にある小金県は貧困世帯が多いが,政府からの移転所得は必ずしも貧困家庭のほうが多くを受けとっておらず,貧困支援策がうまく機能していない可能性がある. 2.所得水準の低い小金県のほうが道路,電気,水道・水利,医療施設といったインフラの現状に対する満足度は低く,整備を望む度合いが大きかった. 3.小金県の農業は,より恵まれた江油市のそれに比べて土地生産性が低く,得られる所得も低いが,それ以上に小金県は出稼ぎを含む非農業所得がめだって小さい. 4.小金県の出稼ぎが少ない理由として,土地利用権の保障や農家間で土地を貸し借りする制度が十分でなく,出稼ぎのリスクが大きくなっていることが考えられた. 5.天候不順などの収入低下ショックに直面した場合,江油市農家は貯蓄の取り崩し,小金県農民は親戚・友入からの借り入れに頼る度合いが大きかった. 6.教育の収益率は有意であった.
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