研究分担者 |
藤本 博巳 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50107455)
太田 雄策 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教 (50451513)
孫 文科 東京大学, 地震研究所, 准教授 (10323651)
菅野 貴之 東京大学, 地震研究所, 研究機関研究員 (20378566)
奥野 淳一 国立極地研究所, 研究教育系, 特任研究員 (00376542)
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研究概要 |
平成20年度には, 5月末から6月中旬にかけての約3週間, 研究代表者と研究分担者が現地に赴き, 3回目の絶対重力測定を実施した. 測定結果を本研究課題により平成18, 19年度に実施された測定結果, および1987年にSasagawa et.al. (1989)によって報告されている測定結果と比較したところ, 過去約20年の間米国アラスカ州南部において, 4μgal/yearを超える速度で重力値が減少していることが明らかになった. このような高速の重力減少速度は, 氷河融解に伴うものとしては, 世界的にも例がない. なお, 過去約20年間の平均的な減少速度は, 本研究課題の研究期間内に測定された減少速度とほとんど一致しており, 過去の測定結果の信頼性を裏付けるとともに, この地域での重力減少が過去約20年間にわたってほぼ一定の速度で進行していることを示唆している. 重力測定と同時に本研究課題により設置した5個所のGPS観測点も赴き, 蓄電池の交換など必要な保守作業を実施した. 積雪地帯における1年間の無人観測にもかかわらず, 概ね連続的なデータを回収することができた. また, データ解析を行った結果, 特に上下変動成分において顕著な経年的隆起現象と, それに重畳する年周変動が検出された. 予備的な解析の結果, 観測された年周変動は, 衛星重力ミッションGRACEによって推定されている質量変化とも調和的であり, この地域の積雪荷重に伴う季節変動と解釈できることがわかった. 本研究課題では, 絶対重力測定の精度を向上させるために, 海洋潮汐モデルの精度向上が不可欠である. そのため, 本研究で実施された相対重力計による重力潮汐観測データ, およびGPS連続観測データを用いて海洋潮汐モデルを構築した. その結果については, 国際誌Journal of Geodynamics(Sato et.al., 2008)に掲載されている.
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