研究概要 |
本研究計画では,ユーラシア大陸極東域(東アジア)全域における古生代末〜中生代初期に起こった微小大陸衝突帯の正確な地域分布を明らかにし,そこでの変成・火成作用を含む深部地質現象を正確に解析することをめざす.そのための本年度における研究として,以下の項目を実施し成果を得た. 1.インドシナ-南中国地塊の境界地域となる中国西部大理・三江地域において野外調査を実施し,精密な地質情報の取得と各種分析のための最適試料収集を行った.この調査で得られた大陸衝突帯の地殻深部を代表する岩石について,精密な鉱物化学分析,流体包有物解析およびEMP年代測定による変成年代を決定した. 2.北中国-南中国地塊の衝突境界となる韓国北部・イムジンガン地域において地質調査を韓国諸大学研究者と共同で実施し,グラニュライト相変成岩類およびエクロジャイト相変成岩類について精密な解析を行って,東アジア北部における微小大陸衝突プロセスを解析した. 3.前年度に実施したタイ中部地域の野外地質調査による多量の試料について解析を実施した.これらの地域では,インドシナ-シブマス地塊境界における衝突型変成作用は角閃岩相高温部以下の変成条件を示し,衝突帯深部岩石は露出していないことを確認した。また,関連する酸性火成岩体についても解析を行い,衝突境界で花崗岩の岩石タイプが明瞭に異なることを明らかにした.また,新たにマルチアイソトープによる年代測定を行った. 4.中国・韓国・タイにおける国際会議で招待講演し,東アジアの大陸衝突帯やゴンドワナ超大陸の分裂とアジア大陸の形成過程などについて研究成果を発表した。これらの会議では多数のアジア研究者と研究成果について議論し,国際研究交流にも貢献した.本科学研究費の最終年度となる今年度は,研究成果として9編の学術論文,14編の学会発表,1編の図書刊行をおこなった.
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