研究分担者 |
横山 裕典 東京大学, 大学院理学系研究科, 講師 (10359648)
鈴木 淳 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (60344199)
小田 啓邦 (独)産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 主任研究員 (90356725)
大河内 直彦 (独)海洋研究開発機構, 地球内部変動研究センター, グループリーダー (00281832)
木元 克典 (独)海洋研究開発機構, 地球環境観測研究センター, 研究員 (40359162)
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研究概要 |
西赤道太平洋から東赤道インド洋にわたって存在する西太平洋暖水塊(WPWP)は地球上で最も水温の高い水塊で,その変動はENSOおよびアジア・オーストラリアモンスーンにも大きな影響を与えてきたと考えられている.本研究では,過去15万年間の海水準変動を高精度に決定するとともに,過去の環境変動を定量的に高時間解像度で復元し,その結果を解析することにより,低緯度域の気候変動-荷緯度氷床変動とのリンケージを解析する.そして,この地域の役割を地球的規模の海洋・気候変動の中で明らかにすることを目的とする. 西太平洋熱帯域(WTP)は西太平洋暖水塊による高い表層海水温のため,蒸発降水が活発で地球の大気の対流を駆動している(Cronin and Mcphaden,1998).WTPを太平洋からインド洋に抜けるインドネシア通過流(ITF)は大洋間を循環する熱塩大循環(THC)のWTPにおける一支流である.このITFの消長は地球の気候システムに大きな影響を持つ(Ganachaud and Wunsch,2000).2005年6月25日から7月9日にかけての航海によりティモール海,南緯9 25.00',東経130 60.00',海深437mの地点から全長28.92mのコアが採取された.この地点はITFの主軸流路下にあり,このコアを分析することによりITFの消長とこの海域の気候変動の関係を明らかにすることができる.現在までに放射性炭素年代測定法と酸素同位体比のクロスチェッキングによるコアの堆積年代が約22万年であると決定された.また酸素同位体も同じく測定され,氷期一間氷期の2サイクルが同じような変動を示すことが明らかになり,氷床量の変化に呼応して,水温も変化してきたことが認められた.この結果を近隣海域の先行研究において計測されたデータと比較することによって,この海域の水塊組成の変化と気候の関係を明らかにしつつある.
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