研究分担者 |
長瀬 敏郎 東北大学, 総合学術博物館, 助教授 (10237521)
菅野 均志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (30250731)
宮本 毅 東北大学, 東北アジア研究センター, 助手 (90292309)
中川 光弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50217684)
伴 雅雄 山形大学, 理学部, 助教授 (50208724)
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研究概要 |
本年度は、平成18年2月、中国長春での日朝中会議で合意された研究内容に基づいて研究を進める予定であった。内容としては白頭山地域の噴火史について、北朝鮮側での地質・岩石共同調査に基づいて推移や規模を調べる。北朝鮮における文献調査や遺跡調査資料を参考に歴史噴火を調査する。また、現在、明瞭化してきた白頭山の火山危機については、朝鮮地震局火山研究所からの事情徴収、観測施設の現地調査を行い、中国側の観測情報も含め、3ケ国で検討を行うことを予定していた。 しかし平成18年7月5日の北朝鮮によるミサイル発射実験、10月9日の地下核実験、そして10月13日の外務省からの'北朝鮮への渡航自粛通達'と'北朝鮮に対する厳格な措置の実施'によって,北朝鮮をフイルドとする作業実施は不可能となった。そのため、北朝鮮に行かなければできない項目の中止と計画切り替えを行い,中国側調査を主体とした数百万年スケールでのマグマ活動の変遷に主眼を置くこととした。また、一部研究手法を現地調査から衛星解析に切り替えることによって問題解決を行った。さらに、白頭山の火山危機に関する研究は中国を主要な相手国とし、韓国も加わる形式の3ケ国協力で進めることにした。10月には東北大学において日中韓3ケ国による共同研究打合せ会議と北海道大学有珠火山観測所の火山観測施設の見学を行い、19年1月には北京において日中韓での共同研究についての具体的な内容の議論を行った。これらのうち具体的な研究成果が得られたのは衛星解析であり、白頭山をふくむ蓋馬溶岩台地全体の新たな地質地形学的特徴が把握され、さらに干渉SAR解析によって、2004〜2005年、白頭山の地下5kmの位置にはマグマが上昇してきていることが推定された。衛星解析から得られた地質地形学的知見を基に,19年度7月には地質・岩石調査を中国領内で実施し,広域にわたって調査,岩石採取を行った。調査後は採取試料の化学分析,年代測定を精力的に行い,概略ではあるが白頭山地域での過去3000万年間におけるマグマの時空変遷について明らかとなった。
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