研究分担者 |
長瀬 敏郎 東北大学, 学術資源研究公開センター, 准教授 (10237521)
菅野 均志 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教 (30250731)
宮本 毅 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (90292309)
中川 光弘 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50217684)
伴 雅雄 山形大学, 理学部, 准教授 (50208724)
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研究概要 |
本年度は昨年度夏以来の日朝間の情勢変化によって,北朝鮮での調査が不可能となったため,すべて中国における調査研究に計画をきりかえて実施した。 白頭山地域を主とした地質・岩石学的研究は10世紀の巨大噴火に注目してなされてきたためか,それ以外の活動については必ずしも明らかではない。そのため本年度の主な調査活動としては数百万年間という白頭山地域全体でのマグマ活動の変遷を明らかにすることを目的とし,(1)中国側白頭山における地質調査と岩石採集,(2)採取岩石試料の化学分析と年代測定,(3)白頭山を含む蓋馬溶岩台地の赤色立体図に基づく地形・地質発達史の解読,これに加えて10世紀以降の近世の活動について検討するため,(4)中国・韓国の古文書解析による噴火事象の抽出とした。(1)〜(3)については,調査地域全体の地質概要を把握するためにASTER画像データを用いて作成した赤色立体図を基に地形判読を行った。白頭山を含む半径70kmに達する蓋馬台地溶岩の分布域の西方に隣接した地域に地形的には比較的新しい活動と推定される単成火山群を伴う溶岩台地(渾江火山群)が存在することが判明した。この判読結果を基に2回の現地調査を行い,両火山群全域から岩石試料の採取を行った。調査で採取した試料の一部については,年代測定・化学組成分析を完了し,蓋馬台地熔岩の年代について概略は明らかになってきた。この年代測定結果に地形判読から判断される活動順序を加えて考えると白頭山地域の火山活動は南東側から北西側に向かって活動域が時間とともに拡大・移動しているといえ,最も新しく活動を開始したのが地域内で背弧域にあたる渾江火山群であることが判明した。古文書解析では李朝実録(全1649巻)に残された14-19世紀までの記述について検討し,明らかに異常現象の発生を示すと思われる記述数十箇所を抽出したが,今後はこの記述に対して,火山学的な検討を行う必要がある。
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