研究課題/領域番号 |
17254005
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
片桐 正夫 日本大学, 理工学部, 教授 (50059515)
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研究分担者 |
清水 五郎 日本大学, 理工学部, 教授 (40059423)
重枝 豊 日本大学, 理工学部, 助教授 (30287586)
伊東 孝 日本大学, 理工学部, 教授 (30287578)
藁谷 哲也 日本大学, 文理学部, 助教授 (30201271)
坪井 善道 日本大学, 生産工学部, 教授 (70120508)
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キーワード | カンボジア / アンコール大国 / 王道 / 橋梁 / 駅舎 |
研究概要 |
カンボジア国内では5回にわたって王道の位置、沿道に残されている橋梁、都城、寺院、宿駅、道路の工法などについての建築的データの収集を行った。ベン・メリアからプリア・カンへのルート沿い、コーケー及びその周辺、プノン・クーレンへのルートとクーレン山上、シェムレアップの西バライから6号線沿いのルート(シソフォン市北へ約30km地点にあるトゥリア村に至るルート)を踏査した。この間に、22のラテライト橋、ラテライト道路擁壁、練土層による舗装工法などの所在と構法についてのデータを収集した。その他、王道のレベルなど実測、またGPSによりルートのデータ収集などを行い目下整理中である。 また、今年度は東北タイにおいてもアンコールからピマーイを繋ぐ王道沿いの遺跡調査を実施した。調査にあたっては、王道と推定される範囲の遺跡を確認し、範囲を広げてその周辺部の遺構も調査対象とした。寺院19ヶ所、宿駅(ダルマサーラ)2棟、施療院の祠堂(アーロギャーシャーラ)5棟、採石場1ヶ所を調査した。この結果、施療院は東北タイ一帯の広範囲に分布していることから、プリア・ヴィヘア寺院への街道を含め、クメール時代にもいくつかのダンレック山脈越えの街道があったとみられる。これまでアンコール都城からタイ方面に向かう主街道は2本とされ、その沿線に宿駅・施療院が建設されたとみられてきたが、既存の幹線道路沿いにも宿駅・施療院が造営されていた可能性が高くなった。ジャヤヴァルマン町VII世(1181-1218)による東北タイ地方における王道は、既存街道の整備が基軸になっているといえる。なお、今回の調査では東北タイにおける王道そのものの存在は確認できなかった。また、ラテライトの橋梁はアンコールの半径約100km以内に分布しており、東北タイ地域では確認できなかった。
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