研究課題/領域番号 |
17255005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
古市 剛史 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20212194)
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研究分担者 |
伊谷 原一 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (70396224)
五百部 裕 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (20252413)
中務 真人 京都大学, 理学研究科, 准教授 (00227828)
橋本 千絵 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (40379011)
小川 秀司 中京大学, 国際教養学部, 教授 (80293976)
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キーワード | 霊長類 / 生態学 / 環境 / 地域変異 / 人類進化 / Pan troglodytes / Pan paniscus / ヒト科 |
研究概要 |
ウガンダ・カリンズ森林の19年度までの研究で、類人猿の食物利用に関するこれまでの一般的モデルとは異なり、それぞれの食物パッチに存在する食物を食い尽くして別のパッチに移動しているわけではないことが示唆された。そこで本年度は、食物パッチの利用開始時から立ち去りまでの採食速度を計測し、食物量の減少による採食速度の低下が起こっているかどうかをさらに詳細に調査した。この結果をこれまでに得られた結果とあわせ、カリンズ森林における食物環境の季節変化とそれに対するチンバンジーの遊動パターン、グルーピングパターン、採食行動の変化をモデル化した。 チンパンジーの分布の南限の乾燥地帯であるタンザニア・ウガラ地区では、チンパンジーの分布と遊動パターンの季節変化に関する調査を行った。また熱帯雨林中央部にあるコンゴ民主共和国・ワンバ地区では、ボノボの遊動と食物パッチ利用に関する調査を継続した。これらの結果をカリンズ森林で作ったモデルと合わせ、多様な環境における類人猿の採食戦略を説明するモデルを構築している。 これまでに得られた初期人類の生息環境についての知見と、Pan属の環境適応についての分析結果をもとにして、この研究でPan属と初期人類の生態的適応についてどういう点が明らかにできたのか、また、この研究を発展させるためには、将来にむけてどのような点を検討しなくてはいけないのかを討論するためのワークショップを開催した。さらに、そのワークショップで得られた成果を、京都大学霊長類研究所で開催したホミニゼーション研究会(共同利用研究会)で報告した。
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