研究課題/領域番号 |
17255008
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
長野 敏英 宇都宮大学, 農学部, 特任教授 (10012006)
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研究分担者 |
石田 朋靖 宇都宮大学, 農学部, 教授 (00159740)
鈴木 邦雄 横浜国立大学, 大学院・環境情報研究院, 教授 (30018048)
吉野 邦彦 筑波大学, 社会工学系都市計画専攻, 准教授 (60182804)
小島 克己 東京大学, アジア生物資源環境センター, 教授 (80211895)
酒井 一人 琉球大学, 農学部, 教授 (10253949)
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キーワード | 熱帯泥炭土壌 / 炭素収支 / 炭素吸収ポテンシャル / 荒廃地の修復 / 造林 / Melaleuca cajuputi / 土壌呼吸と土壌含水率 / DNDC |
研究概要 |
(1)ナコンシタマラート県の排水されている泥炭湿地荒廃地(クアンクレン地区)に2ブロックの試験圃場を造成した。1ブロックは周囲に土手を築き、湛水状態で水管理を行う湛水区、他の1ブロックは通常の畑条件の対照区とし、土壌の沈下測定(泥炭層消失)および、地下水位、地温・気温測定、降水量め測定を行った。 (2)タイ南部の湿地の在来種11種の大苗を用いて、苗畑で湛水環境に曝して順化させ湛水ブロックに植栽したところ、初期の生残率が高い4種が見出され、そのうち2種で湛水順化処理による生残改善効果がみられた。湿地在来種14種の泥炭土壌上での葉の分解速度を測定したところ、1年後の残存率は14〜84%の範囲であり、種により大きく異なった。 (3)造成地において土壌呼吸量の測定を行った。その結果、畑条件のCフラックスは地下水の深さよりもむしろ、地表面近傍の土壌水分状態に依存し、泥炭地域の炭素発生量を軽減するには湛水状態を維持する必要がある事が明らかになった。 (4)地球観測衛星TerraのMODISデータとFAOの世界土壌図を用いて,東南アジアに分布する熱帯泥炭湿地の面積とその中の開発地面積を推計した.さらに精度を高めるために、高空間解像度のデータであるLandsatTM,ETM+画像データから作成された西暦2000年を基準年とするGeocoverデータと該当国の縮尺1:50,000〜1:200,000の土壌図(FAO)を用いて,再計算を行い、より信頼性の高い推計値が得られた。 (5)DNDC(DeNitrification-DeComposition)モデルを用い、泥炭地からの二酸化炭素、メタン発生量の推定をおこなった。その結果、湛水状態においては無視し得ない量のメタン発生の可能性が示唆された。今後、可能ならば実測を行う必要がある (6)伝統的生活文化の集落を対象とした泥炭湿地における植物資源の持続性メカニズムの解析を行った。
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