研究概要 |
1)泥炭湿地林からの炭素流出;河川水中に含まれる全有機体炭素濃度、河川流量、流域面積から、泥炭湿地林から1 tC ha-1 y-1の有機体炭素が流出していると推定された 2)泥炭沈下からの炭素放出;長期にわたる泥炭沈下測定結果から、開発泥炭土壌地域では21 tC ha-1 y-1、この中でも野火による泥炭消失は14 tC ha-1 y-1にのぼる事が明らかになった。 3)泥炭土壌からの炭素放出;泥炭分解による二酸化炭素放出量は、常時湛水を維持した場合は0.9 tC ha-1 y-1に留まるが、排水をし、農地化した開発地においては24 tC ha-1 y-1に達すると推定された。この値は、土壌表面の土壌水分状態によって大きく左右されることが明らかになった。 4)湛水造林技術の改善;苗木の湛水順化処理を行うことにより、湿地林構成種10種のうち7種の湛水順化処理苗で植栽8ヵ月後に生残していた個体がみられた。湛水順化処理の有效性が確認され、新たな造林候補樹種を見出すことができた。 5)熱帯泥炭土壌面積の推定;衛星画像データ(LandsatTM,ETM+画像データ)を用いて推定を行った。泥炭地面積は、東南アジア全体で2,137万ha、残存する泥炭湿地林は1,267万ha,開発されたココヤシやアブラヤシのプランテーションや畑地、二次林、裸地、市街地は合計550万ha、水域、被雲域、地形の陰影域は合計320万haと推計された。
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