研究課題
基盤研究(A)
我々はSE36ワクチン治験製剤を開発してきたが、その実用化にはマラリアワクチンとしての効果判定を海外流行地域における臨床試験によって行うことが必要である。海外における臨床試験の実施場所はウガンダ北部の高度マラリア流行地域であるApacを予定している。平成17年度、9月26日から10月1日(現地27日-30日)にウガンダのカンパラにある医学生物工学研究所を訪問し、所長のThomas G.Egwangと現地での第I相臨床試験(Phase Ib)の打合せを行った。この打合せをもとに、11月7日から10日(現地8日-9日)にジュネーブにあるWHO-TDRにおいてSE36マラリアワクチン臨床試験のためのミーティングを開催した。参加者はWHO-TDR(世界保健機構-熱帯病特別プログラム)のDr.Karbwang、WHO-IVR(同、ワクチン研究推進部)のDr.Reed、とDr.Egwang、及び本研究代表者である。国内における第I相臨床試験(Phase Ia)の結果の検討を行うとともに、これらに基づき、現地での第I相臨床試験(Phase Ib)の詳細な計画を検討した。一方、マラリア感染においては妊娠マラリアが重要な問題である。これは妊娠に伴う免疫力の低下から母体おいてマラリア原虫率が上昇するとともに、胎盤にマラリア感染赤血球が蓄積することにより出産される胎児の体重が著しく現象することである。共同研究者であるDr.Egwangとともに、抗SE36抗体価と母体のマラリア原虫率、出産児の体重を測定したところ、抗SE36抗体価の高い母体においては原虫率も低く、出産児の体重も正常児と有意な差は認められなかった(投稿準備中)。したがって、本研究課題であるSE36マラリアワクチンは妊娠マラリアに対しても効果が期待できることが示された。
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