研究課題
量子情報処理においては、量子状態を用いて情報を表現・操作・伝送することによっで情報処理を実現する。こ二で重要なことは、これまでの情報処理が古典カ学系に依存して展開されていたのに対 L て、量子状態を用いた場合の情報処理ではどのような新ししきことができるかを解明することである。本年度の研究でほ、古典力学系の状態では表現できない量子的相関について精緻に解析を行い、それを情報処理方式へと発展させることに重点を置いた。具体的には、量子力学において真の量子性を示すための Bell不等式の理論を現代の組合せ的凸多面体論と対話証明の枠組みを適用することによって研究を進めた。まず、古典的な状態を含む分離可能な量子状態に文寸して測定をしたとぎに得られる相関表全体が凸多面体3部グラフのガマト凸多面体であることを指摘し、組合せ的凸多面体論で詳細に調べられているカット凸多面体の結果をこのBell不等式の場合に適用することを行った。 従来研究で完全グラフのカット凸多面体のファセットは完全グラフの場合で9点程度まで調べ上げられていることに鑑み、それらファセットを完全 3部グラフのファセットに変換する汎用的手法として3角消去を提案した。3角消去により膨大な数のBell不等式が系統的に獲得できることを具体的に示し、カット凸多面体の超メトリック不等式クラス等に対応する無限個からなるBell不等式のクラスが構成できることを示した。またこの問題の背景にある対称性に関して、違う過程を経て得られる3角不等式同士が異なるものになっていることを示した。さらに、量子情報で有名なWerner状態等の量子特有の対称性を満たす量子状態について、これまでは最も基本的なCHSH不等式より強力なものが知られていなかったが、そのようなBell不等式が存在するかという未解決問題に対しで肯定的な解決を与えることに成功した。
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