研究概要 |
平成20年度は,本研究の最終年度となり,主に構造化並列プログラミング技術の新しい並列言語への応用と「助っ人」システムの評価を行った.その主な研究成果は3つある. (1) 構造化並列プログラミング技術を新しい言語Fortressへ応用:我々の研究してきた構造化並列プログラミング技術である,並列スケルトン,プログラム運算,並列性の自動導出などを,Fortress上の容易かつ頑健な並列プログラミングに応用し,最適化ライブラリを構築した.(2)並列プログラムの候補生成と適合性検査による並列化:プログラムの並列化に関連して第三準同型定理が知られている.第三準同型定理は,配列からある値を計算する問題に対し,その配列の要素を右から順に走査するプログラムと左から順に走査するプログラムの両方が存在すれば,その問題を分割統治法によって解く並列プログラムが存在する,ということを示している.我々は第三準同型定理に基づいた新たな自動並列化手法を提案した.提案手法では,逐次プログラムを元に並列プログラムの候補を生成し,それらの中から正しい並列プログラムとなっているものを選択する.我々の並列化器は,算術演算と条件式によって定義された再帰関数から,その再帰関数を計算する並列プログラムを自動的に生成することができる.(3)木アルゴリズム並列化のための新しい準同形定理の提案:配列を走査する計算について知られていた定理である「the third homomorphism theorem」を、木構造を走査する計算に対して拡張した.本研究成果をトップ国際会議ACM POPL'09で発表した.
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