研究概要 |
高安全知能自動車という典型例を通じてシステムLSIにおけるシステムレベルの統合設計手法を確立する.システムLSIでは複数の処理モジュールが相互にリンクした処理となっているが,システムをどのような処理モジュールに分解し,それらをどのように有機的に結合するかという問題が重要となる.さらに,さらにシステム全体の性能仕様を決定し,消費電力などを考慮しながら各モジュールへの最適時間配分を決定するという,システムインテグレーション理論についてその基礎理論の構築を,具体例を通して検討した. (1)高安全知能自動車用VLSIプロセッサの処理モジュールの考察 高安全知能自動車に必要な処理モジュール,特にベイジアンネットワークに基づく障害物の動き予測について検討した. (2)システムインテグレーション理論の構築と動作速度仕様の導出 リアルワールド応用では,計測値や予測値に不確定性が存在ため,このことを十分考慮したシステムインテグレーション理論の最初の段階として,サンプル周期毎に同一処理を繰返すリアルワールド信号処理モデルを構築し,自動車の衝突アラームシステムを典型例として取り上げ,動作速度すなわちサンプリング周期を決定する方法を考案した. (3)VLSIプロセッサアーキテクチャモデルとハイレベルシンセシス 動作速度,チップ面積,動的・静的消費電力などのうちから,制約条件と評価関数を選び,スケジューリング,アロケーションなどの最適化問題を考察した. (4)FPGAを用いた高安全知能自動車用プロセッサ設計と評価 上記の統合設計から得られた,ステレオビジョンプロセッサなど複数の処理モジュールをFPGAを用いて実装し,その総合的評価を行った.
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