研究概要 |
アドホックネットワークは、基地局をもたない無線ネットワークであり、各携帯端末は無線により直接通信を行なう。離れていて直接通信が行なえない場合は、他の携帯端末を中継として用いるマルチホップ通信により,遠距離の通信を実現する。アドホックネットワークは,震災などで基地局が破壊された状況や,基地局のない僻地で臨時的な通信サービスを提供することを想定したネットワークである。実用化はまだされていないが、救助活動時などにおける情報伝達を実現するものとして注目されている。本研究の目的は、アドホックネットワークの実用化である。本年度は,これまでの研究を踏まえて、IEEE802.11を用いた無線LANによるアドホック通信システムのプロトタイプを作成した。無線LANを装備した複数のノートパソコンを用いて、実際にマルチホップ通信を行うルーティングプロトコルを実装した。そして、実装したマルチホップ通信システムの性能評価を行い、1対1の無線通信に比べ、どの程度のオーバーヘッドが存在するか調べた。その結果、隠れ端末問題やさらし端末問題のため、50%から70%のオーバーヘッドが存在することがわかった。さらに、関連する研究として,アドホックネットワークやセンサーネットワークでのルーティングプロトコルや,P2P向け通信システム、ネットワーク上のゴシッピングアルゴリズム、耐故障通信経路の多重化法、自己安定アルゴリズムなどの開発を行い理論的な評価を行った.
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