研究概要 |
平成19年度は,交付申請書の(1)〜(3)に対応して,以下の研究を実施した. (1)2進数系と非2進数系の最適な融合に基づく高性能ハードウェアアルゴリズムをARITHによって系統的にライブラリ化するとともに,これを用いた各種演算回路のモジュールジェネレータを段階的に開発した.第1段階として,並列乗算器を中心としたモジュールジェネレータを開発し,web上で公開した. (2)ARITHによって記述された各種ハードウェアルゴリズムを2値論理(電圧モードCMOS)と多値論理(電流モードCMOS)の混載回路によって最適に実現するための設計のフローを検討した.この設計フローでは.ARITH記述を2値論理・多値論理混載ネットリストに変換するとともに,これを前年度に開発したセルライブラリにマッピングし,自動配置配線により2値論理・多値論理混載レイアウトを生成した.以上で開発した2値・多値統合設計のフローを各種のシグナルプロセッサの設計に適用し,実用上のインパクトについて総合的な評価を行った. (3)前年度に設計した単電子トランジスタ(SET)を用いた連想メモリ(CAM)の性能評価を行い,大規模なLSIシステムへの応用を検討した.また,人工触媒素子に基づく無配線ナノエレクトロニクスの可能性についても前年度に引き続き検討した.各種の非線形結合振動子系を実現する人工触媒ネットワークを設計するとともに,前年度に試作した2次元人工触媒素子チップをプログラムすることにより,その動作を確認した.特に,興奮性反応拡散ダイナミクスをチップ上で再現し,BZ反応のような動的に伝搬する化学反応波の発生を確認した.また,チップ上で発生する化学反応波の可視化を試みた.
|