研究課題
基盤研究(B)
近年、マルチコアCPUが相次いで登場している。本研究では、こうしたマルチコアCPU上でのマルチスレッディングを用いた高速化技術について研究を行った。2005年度は、本分野でのサーベイ、アルゴリズム検討、アプリケーション側からの検討を行った。アルゴリズム検討では、分岐予測の面からパイプライン中の空きスロシトを削減する方法を検討した。さらに、近年のオンチップマルチプロセッサでは、L2を共有するものが増加しており、L2の効率的な制御方法についても検討を行った。具体的には、L2内のどこに必要となるデータを配置するかというデータ配置最適化技術を提案し、SPECint95、SPECint2000で平均17%のIPC向上を確認した。アプリケーションレベルからの検討では、今後その高速化が重要となってくると考えられる検索アプリケーションの動作特徴等を調査した。2006年度は、前年度の検討に基づき、ターゲットをディスクアクセスの最適化に特化し、オンチップマルチプロセッサ上でのキャッシュ最適化について研究を進めた。まず、DISKの先読みにヘルパースレッドを用いる例では、先読みスレッドで事前にデータの読み込み込む手法を提案し、gzipが最大で39.2%性能向上することを確認した。次に、DISKキャッシュ自体をネットワーク接続された他のPC上に置き、ヘルパースレッドによりディスクキャッシュを制御する高速化手法を提案した。DBT-3ベンチマークテストによる評価では、最大3。08倍の性能向上を確認した。さらに、実アプリケーションとして、シェルスクリプト実行の高速化を実現した。特に、シェルスクリプトの自動並列化プログラムを提案することにより、シェルスクリプト実行を1.4〜1.8倍高速化することができた。本研究成果は、USP研究所において製品化を目指している。
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