研究概要 |
可視化された現象,事象の解釈の方法や設計支援等の可視化後のプロセス強化,科学技術計算の可視化と情報可視化が融合された次世代の可視化システムを検討し,従来型の可視化システムを発展させる形でプロトタイプを実装する。また,将来の計算環境,通信環境を考慮し,広域に分散して蓄積される可視化情報の効率的な活用の方法を検討する。そのシステムが生み出す可視化情報を知的財産として百年,千年後に残すことを目指す。本年度実施項目を以下にまとめる。(1)知識集約型可視化システムのプロトタイプシステム(VisualBase)の実装を進め,ネットワークの可視化機能を追加した。また,可視化処理の高速化のためにポイントレンダリングによる等値面処理手法を開発した。(2)可視化結果の理解の過程を分析するためのマウスポインタ追跡機能をVisualBaseに加えた。並行して,視線測定による分析を行い,従来の視線追跡からの分析の課題を明らかにし,視覚的重要度マップと視線追跡を組み合わせた新しい分析手法を提案した。(3)可視化作業プロセスのモデル化のために,プロセスの構造化のためのプロセス自体の階層的なパラメータ化,およびタグの設計を行った。このプロセスからタグ付けられた履歴情報を蓄積するためのクラスの実装を行い,可視化エージェントへの展開を検討した。(4)可視化情報は広域に分散して蓄えられることを想定している。この場合,効率的な活用のためには情報が存在するネットワーク自体の性質を調べる必要がある。大規模ネットワーク上でのスピン系のダイナミクスについて検討し,分散のさせ方が検索や比較に深く関連することを示した。これは知識集約の方法を考える上で重要な知見である。また,情報管理の効率化のために,ネットワーク上のデータに対する新しいクラスタリングの方法を提案した。
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