研究概要 |
構造マップや物性理論に基づくデータ評価のためのフィルター群を活用して,データの品質を高める作業を実施した。ネットワークを介して収集した多種多様な大規模不完全情報は,俯瞰を通して比較評価することが有効で,そのための簡便なインターフェイスを開発した。この材料設計ツールの基本は,構造情報を介した類推による半経験的であるが効率的な手法である。つまり,部分一全体関係,構造特性相関を活用した手法で,データの拡充,モデルの進化に適応可能なロバストな特徴を有している。具体例としては,酸化物系を選択し,物質系の構造安定性とゆらぎ,非化学量論的特性など,材料の機能に密接に関係する構造的特性を伝統的な結晶化学的アプローチに加えて,酸化プロセスにおける結合次数の変化として記述し,データ点の集合でなく解空間としてホリスティックに表現することを試みた。 次に,複雑な人工物を例題として選び,誤判断を回避するためのデータ,モデルの品質管理手法,特に大規模データベースの俯瞰,可視化と帰納による"常識"の提示と,相関関係抽出,事実の多面的な解釈を創発するインターフェイスを設計,開発し,利用可能な装置群,情報システム群をプラグイン型で統合化するためのメタデータ,人間系の試行錯誤を管理,支援するためのインタラクティブな知的環境を構築した。システムの中で定義される材料という考え方の導入である。 また本手法の成否は,データの品質に大きく依存するため,上記の諸フィルターに加えて,専門家によって形成される学術コミュニケーション用ネットワークを連携した信頼のネットワークとして活用し,情報知識の進化プロセスとして活用するための方法論の検討とその実装を試みた。
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