研究概要 |
昨年度に達成した赤外線パターン光による作業過程の記録技術の応用として,今年度は,実作業を支援するための情報を自動的に生成しユーザに提示する手法について研究を行った.工業製品において曲面に覆われた形状のデザインをする際には,面のつながりや滑らかさを評価するために写り込みの連続性を視認により検討することがある.しかし実際にはクレイモデルはつやを持たないため,形状を変更する作業とその面を検討する作業を同時に行うことができなかった.そこで我々は赤外パターン光により作業中の対象物体の形状を刻々計測し,作業者が作業対象から手を離すとその作業対象へ周囲シーンの写り込みの映像を投影することで,視覚的には対象物体が周辺の様子を反射しているように感じられるようなシステムを作成した.周囲の光環境を取り込むためには球面鏡を用いたが,これを同時に作業者の頭部位置の計測にも用いた.作業者の頭部にLED光源を取り付け,その光源の写り込みを抽出し方位に変換することで,物体に写り込む周囲環境の像が頭部姿勢に応じて正しく変更されるようにした.結果として,モデリング作業とその形状の評価を繰り返し行うことができ,形状デザインに有用なシステムであるという知見を得た.
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