研究概要 |
本研究の目的は,現存する最高水準の拡張現実感システムを移動型へと移し替えることではなく,可搬移動型情報機器を画面解像度,処理能力,記憶容量などの複数の軸に応じて分類した上で,それらの要素に起因する数々のシステム実現上のトレードオフを容認し,利用端末や利用形態,提示情報のレベルを選択・設定可能な情報提示アーキテクチャを構築することである.具体的には,拡張現実感技術をベースに,可搬移動型情報機器によって現実の空間を案内・誘導するガイドシステムを主対象とし,1)可搬移動型機器を透過的に扱うためのシステム・アーキテクチャの設計方針,2)情報配信に利用するコンテンツの記述方法,3)試作システムでの検証に基づく実世界中での拡張現実感の利用形態にかかる問題点,を明らかにする.これを,以下の5つの研究項目にわけて考察を進める. (1)可搬移動型拡張現実感システムの共通基盤アーキテクチャの考案・設計・実装 (2)提示情報記述言語SKiT-XMLの仕様策定・実装 (3)可搬移動型携帯端末向けの拡張現実型情報提示機構の設計・開発 (4)可搬移動型拡張現実感システムのためのユーザインタフェースの開発 (5)プロトタイプシステムの開発と実証実験 本年度は標記研究課題に関して以下にあげる研究成果を得た. ・項目(1),(2)に関して,前年度に設計したアーキテクチャの実装を進め,プロトタイプシステムを構築した.加えて,システムで扱えるコンテンツとして新たに音の要素を追加し,様々な拡張現実感システムが構築可能な共通基盤を実現した. ・項目(3)について,環境の美観を損ねない位置姿勢検出用マーカを考案し,このマーカを用いた位置姿勢検出機構を実現した.実験を通してこれまでの手法と同程度の位置姿勢検出精度が実現可能であることを確認した. ・項目(4)について,得られた成果を項目(1)と統合して,各種モバイル端末に対応した情報提示機構を実現した. ・項目(5)に関して,ノートPCと方位角センサを用いた可搬移動型の拡張現実感システムを試作し,その性能評価を行った.
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