研究課題
論理推論と確率計算を統合した記号的統計モデリング言語PRISMの開発を進めた。PRISMの数学的意味論である分布意味論は従来確率的データ生成過程における失敗を許していなかったが、我々は意味論を3値(成功、失敗、未知)論理の枠組で再構成する事により、失敗を許す分布意味論を構築した。成功は確率的データ生成過程に於いて出力の成功を、失敗は、生成されたデータが与えられた制約を満たさない事を、未知は、生成過程が無限となり永久に出力が観測出来ない事をそれぞれ意味する。新しい意味論により、制約付きの確率文脈自由文法のような観測可能データの確率の和が1未満である場合も、確率モデルのパラーメータ学習が可能になった。但し学習には失敗過程を陽に記述するPRISMプログラムが必要であるが、我々はプログラム変換の技術を適用して失敗過程を陽に記述するPRISMプログラムを完全自動合成する方法を発見した。更に言語データとしてATRコーパスを用い、構文解析木の高さ制約を持った有限確率文脈自由文法から実際にEMアルゴリズムによりパラメータ学習が可能である事を確認した。このような確率モデルはいわゆるlog-linearモデルに属するが、これまでのlog-linearモデルのパラメータ学習に対し、簡便で効率的であると考えられる。またPRISMの応用として確率文脈自由文法による人体動作の解析と予測を取り上げた。ロボット研究グループと協力して茶道のお点前をビデオにより記録し、それから抽出した記号列を記述する確率文脈自由文法を構成した。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
電子情報通信学会論文誌 J88-D-II巻No.4号
ページ: 716-726
Logic-based Program Synthesis and Transformation, Springer LNCS 3573
ページ: 117-132
第4回論理に於ける学習と言語ワークショップ(LLL05)予稿集
ページ: 21-30
第19回人工知能国際大会(IJCAI2005)予稿集
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