研究概要 |
本研究では,遺伝的アルゴリズムや遺伝的プログラミングなどの従来の進化的計算法の枠組みを超えた記述能力をもった新しい進化的計算法を開発するとともに,それらを主としてセキュリティカメラを用いた人物の動作認識などの動画像処理・認識の問題に適用してその有効性を示すことを目的とした研究を遂行している.平成17年度では,始めに,数値と木構造の同時最適化を実現する手法として,GMA(Genetic Matrix Algorithm)と称する進化的計算法を開発して特許出願するとともに(特願2005-274309),数値パラメータ付きのフィルタを木構造状に組み上げる画像処理に適用してその有効性を確認した.さらに,グラフ構造を最適化する新しい進化的計算法としてGIN(Genetic Image Network)を開発した(特許出願準備中).GINでは,グラフの節点に画像処理フィルタを用い,動画像のように時々刻々変化する画像を入力し,同時に複数の画像(処理画像1,処理画像2,...)を出力することが可能であり,動画像処理に最適な進化的計算法であると言える.また,人物の動作認識に関する研究を同時に進め,単眼の動画像に対する処理によって人物の動作の概略を認識する方式を開発した.これらを融合することで,従来は個別にプログラムを作成することが困難であった動画像処理・認識の処理を,事例に対する学習を通して自動獲得することが可能であると考えられる.以上のように,本研究では当初予定していた以上の研究成果を残すことができた.平成18年度は,平成17年度に開発した新しい進化的計算法を実際に動画像処理・認識に適用してその有効性を確認する予定である.また,研究成果を国際会議などにおいて積極的に公表する予定である.
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