研究概要 |
平成19年度は下記の全体研究3計画のうち,(2)を完成させ,(3)の生理の制御を始める予定であった. (1)映画の感動シーンの物理信号の共通特徴抽出と,感動時の生理的反応の特徴把握 (2)文脈(ストーリ)を外した物理信号の特徴量変化と生理的反応との関係抽出 (3)上記(2)で得られた関係を初期値とし,インタラクティブ進化計算を用いて 感動生理状態を再現する物理的特徴量の最適探索技術の確立 しかし,(2)で計測した生理データからと映像特徴との間に有意な関係がまだ見いだせず,(3)に進むことはできなかった.以下には本年度行った(2)について以下述べる. ■【生理データ用の映像メディアの制作】 映像メディアを提示し,上記ステップで確定した物理特徴量候補を変化させて生理計測を行うためのメディアを作成する.映画のシーンを利用した場合,文脈が情動に大きく影響する.したがって文脈の影響をなくすため,無意味映像を作成し,この無意味映像の物理特徴量候補を変化させた映像メディアを生理計測に用いる. まずはじめに黒の映像区間,白黒のちらつき映像区間の強烈な刺激映像を作成し,生理反応に影響が現れるこどを予備実験として確認した.続いて,2種類の抽象映像刺激(フラクタル映像と半径の異なる複数の円が動く映像)を,対数周波数軸の傾きをパラメータとして10通りのパラメータ値の映像を作成した. ■【感動シーンの生理データ計測と映像物理特徴量との対応解析】 上記映像メディアを用い,個々の物理特徴量候補を変化させて提示した時の4ch脳波計測および他の4種類の生理データを計測した.ただし,解析には脳波のみを用い,変化させた映像パラメータに対応する脳波パラメータを見出そうと解析を続けた. しかしながら,被験者間の個人差が大きく,被験者間で共通に見られる映像特徴パラメータに対応する生理パラメータはまだ見出せていない.
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