研究課題
細胞外電場を負荷した際の電位応答を海馬スライス標本に高速膜電位イメージング法、及びホールセル記録法を用いて解析する実験的研究と、数理モデルによる解析を行った。1)前年度の重要な研究成果の一つとして、Znイオンが電場に対する応答を大きく変化させることを見出した。この発見を元に、電場応答の決定にリークチャネルが関与している可能性を検討した。その結果、Znイオンはチャネルに作用しているのではないことが判明した。2)温度等によっても応答が著明に変化することからTRPチャネルの亜種が関与している可能性を検討したが、結論に至っていない。3)前年度までの研究により単純化したケーブルモデルに対するケーブル方程式の解を、モデル計算およびグリーン関数法を用いて求めることが可能となっていた。この方法を用いてAC細胞外電位に対する応答を検討したところ、ケーブルの一端にリーク抵抗があると、その一端において周波数選好性のみられることが判明した。また、リーク抵抗の存在によって、反対の端における電位変化の振幅が増大することを見出した。この成果は論文として登稿中である。4)電場に対する電位応答を実験的に観察した結果を、従来は樹状突起先端部の低い膜抵抗によって解釈してきた。しかしながら、先端部の分岐した形態も応答の決定に寄与している可能性が考えられる。この可能性を検討するために単純な分岐モデルによるモデル計算を行った。その結果、形態によっても解釈が可能であることを示す結果を得た。
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Neuroscience Research 64
ページ: 83-95
信学技報 108
ページ: 81-86