酸化還元酵素は、電子伝達(Electron transfer)、ヒドリド転移反応(Hydride transfer)、酸素化反応(Oxygenation)、水素化反応(Hydrogenation)など、様々な酸化還元反応を担う酵素である。特に、電子伝達反応を担う酸化還元酵素の場合、シトクロム系蛋白質など、電子伝達蛋白質を基質・産物として、相互作用し、電子伝達反応を担っている。こうした電子伝達蛋白質には、活性中心に電子の授受をする補酵素やアミノ酸残基が存在している。フェレドキシンの場合、鉄硫黄系の補酵素を結合し、フラボドキシンの場合は、FMNのようなフラビン化合物を結合している。チオレドキシンの場合は、2個のシステイン残基が近接しており、酸化状態では、ジスルフィド結合を形成する。ヘムを結合する電子伝達蛋白質としては、所謂、シトクロム系の蛋白質がある。シトクロム系の蛋白質は、現在のように立体構造データが解かれる以前に、結合しているヘム化合物の種類や分光学的な手法で分類がなされており、シトクロムa、シトクロムb、シトクロムcというように、大別されていた。しかしながら、近年、こうした蛋白質の立体構造が解かれると共に、同じシトクロム群の蛋白質でも、様々なスーパーファミリー、フォールドに属しており、ドメイン構成が異なることも分かってきた。そこで、平成19年度では、こうした電子伝達蛋白質を活性中心の種類や立体構造の観点から系統的に解析・分類を行った。更に、電子伝達蛋白質と酸化還元酵素との相互作用の様式についても解析を行った。
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