研究課題/領域番号 |
17300099
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
崎村 建司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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研究分担者 |
阿部 学 新潟大学, 脳研究所, 助手 (10334674)
山崎 真弥 新潟大学, 脳研究所, 助手 (70401768)
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キーワード | コンディショナルノックアウト / グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / AMPA受容体 / TARPγi / シナプス |
研究概要 |
グルタミン酸受容体チャネルは、興奮性のシナプス伝達を担うばかりでなく、シナプスの可塑性の鍵を握る分子群であり、その活性調節は脳機能を理解するうえで重要な問題である。本研究の目的は、グルタミン酸受容体のシナプスへの移行と活性調節の分子機序を明らかにすることである。この目的のために、本年度は、NMDA型受容体が海馬シナプスにどのような分子機序で移行し、活性化が起こるのかを、GluRε2(NR2B)の脳部位特異的ノックアウトマウスを使って解析した。海馬CA3選択的にGluRε2を欠損したマウスでは、GluRε1とGluRζ1がシナプス領域に残存しているのにもかかわらず、NMDA型受容体の活性が消失していた。この原因解明のために、CA3領域PSDに存在するタンパク組成を生化学的手法と形態学的な手法により解析をおこなった。その結果、免疫電顕では、PSD領域に存在するGluRε1およびPSD95の量は野生型と変わらなかったが、生化学的に調製したPSD画分では、この両者がいずれも減少していた。このことは、GluRε2欠損マウスのPSDが界面活性剤に脆弱であり、シナプス構造の安定性とNMDA型受容体活性にGluRε2が必要であることを意味する。 AMPA型受容体のシナプスへの移行とシナプスでの活性調節の分子機序を明らかにするために、AMPA型受容体のシナプスへの移行と活性調節に関与するTARPγファミリーを欠損したマウスを作成した。海馬に高い発現をするTARPγ8を欠損したマウスでは、正常に発育し交配にも問題は無かったが、海馬におけるAMPA型受容体の量が著しく減少していることが明らかになった。電気生理学的に測定した海馬シナプスのAMPA型受容体を介する電流応答は、CA1、CA3各領域で約半分に減少していた。一方、生化学的な解析から、AMPA型受容体の減少は、シナプス外の膜画分で大きく、シナプス部で少ないことが明らかになった。これらのことは、TARPγ8が海馬シナプスへのAMPA型受容体の移行と活性調節に関わる補助サブユニットであることを示唆する。
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