研究課題
先の研究で、急性期において骨髄間質細胞の髄液内注入が有効であることを明らかにした。それに基づいて、臨床応用を実施し、極めて良好な結果を得ている。細胞移植による脊髄損傷の研究成果が日本で臨床応用まで行ったのは本研究が最初である。この研究では一旦培養された間質細胞を用いた。本年度は、細胞の培養という不利を除くために、培養段階を経ない骨髄問質細胞の移植効果を調べた。さらに慢性期における細胞移植による治療法の可能性を調べた。まず、骨髄間質細胞は、同じ系統(Wistar)のラットの大腿骨あるいは脛骨の骨髄から単核球として分離した。レシピエントのラットは、第9-10レベルの胸髄に挫滅損傷を与え、その直後に上記の単核球を第四脳室から髄液内に注入した。その結果、BBBスケールで歩行の著明な改善を見た。また脊髄空洞形成の程度が抑えられ、空洞周囲の神経線維成分の保存が良好であった。これに比して対照群では神経線維成分が少なく、アストロサイトの増殖が目立った。この結果、急性期の脊髄損傷において、骨髄から分離した状態の骨髄間質細胞を直ちに移植することで、十分な治療効果があることが明らかとなった。一方、慢性期の損傷に対しては、既に細胞の髄液内注入では効果がないことが明らかとなっているので、本研究では間質細胞を直接損傷部の空洞及びその周辺に注入する方法をとった。その結果、ある程度の効果が認められた。今後、他の細胞種との共移植などによって新たな治療法を開発する。次に、脈絡叢上衣細胞について、大脳半球の虚血損傷に対する効果を調べた。ラットの中大脳動脈の結紮による虚血損傷を作成し、第四脳室から培養脈絡叢上衣細胞を注入した。その結果、対照に比して虚血損傷部の面積が大幅に縮小することが明らかとなった。この結果は、虚血脳の治療に大きなインパクトを与えるものである。
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J Neurotrauma (in press)
J Biomed Mater Res. (in press)
Aino journal vol.5 (in press)
Encyclopedic Reference of Neuroscience (Eds. MD Binder, N Hirokawa,U Windhorst) Springer-Verlag. (in press)
Encyclopedic Reference in Neuroscience (Eds.MD Binder, N Hirokawa, U Windhorst) Springer-Verlag. (in press)
Encyclopedic Reference in Neuroscience (Eds.MD Binder, N Hirokawa, U Windhorst) springer-Verlag. (in press)
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