| 研究概要 |
マウス海馬及び主嗅球のニューロン構成について解析を進めた。
海馬についてはこれまでの定量解析の所見を総合して、海馬局所回路ニューロン群の全体像を明らかにした。また、海馬ミクログリアについて定量解析を進め、以前に報告したアストロサイトと比較検討し、空間的分布パターンについて明らかにした。
嗅球については、nitric oxide synthase(NOS)含有ニューロンについて免疫細胞化学、トレーサー実験、電子顕微鏡観察により解析を進めた。その結果これまでの主にラットで報告されてきた所見と大きく異なる所見がいくつか得られた。
第一にマウス嗅球NOS陽性は多様であり、これまで他の動物で報告されているperiglomerular cells, granule cells, short axon cells, stellate cells及びその他のまだ同定されていない介在ニューロンが嗅球NOS含有ニューロンに含まれていた。しかし、更に他の動物で報告されていなかったexternal ＆ middle tufted cellsの一部がNOS陽性であった。第二に主嗅球からの投射ニューロンはmitral cell, tufted cellのみでなかった。嗅球NOS含有ニューロンの一部は嗅球外への逆行性トレーサー注入により標識された。その標識されたニューロン中にshort axon cellsの一部、その他の未同定のニューロンが含まれていた。従って、これまで局所回路ニューロンとされてきたニューロンの一部は局所回路ニューロンではなく、投射している可能性が高い。第三に嗅球からの投射ニューロン及び嗅球内での連合ニューロンの化学的性質の面での多様性が明らかになった。
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