研究概要 |
神経アクチン細胞骨格制御には、神経回路発達途上で重要な低分子量G蛋白Rhoシグナルや、成熟シナプス活動によって発生するカルシウム流入依存的再編成など、多様なメカニズムが存在することが知られている。本研究計画では、シナプスにおける刺激依存的カルシウム流入を引き金にして、これに引き続いて起こるアクチン細胞骨格再編成の分子機構に特に焦点を絞り、研究を行うことを目的としている。初年度においては、以下のことを明らかにした。 1)当研究室での先行研究にて単離同定した膜局在型キナーゼCLICK-III/CaMKIgammaが発生期において、著明に大脳皮質神経細胞に局在すること。 2)本酵素のRNA干渉法による発現阻害により、大脳皮質培養細胞の神経突起の形成不全が特異的に生じること。 3)本酵素活性化の下流で、低分子量G蛋白質活性化が寄与すること。 本成果は、現在投稿準備中である。 また上記のような実験を可能にするため、lipofectionによる遺伝子導入法の最適化を行い、その過程で、PSD-95変異体に関する新たな知見を得た(Nonaka et al.,J.Neurosci.,2006)。 また、これまでに開発してきたGFP-actinイメージング(Iki et al.,Eur.J.Neurosci.,2005)をさらに改良し、赤色蛍光におけるアクチンイメージングやPurkinje細胞におけるアクチンダイナミクス測定も実現した。
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