研究課題
我々はショウジョウバエを用いて神経系におけるシグナル伝達のメカニズムの解明につとめ、平成18年度には以下3つの分野において成果が得られた。1.シナプトタグミンIの機能シナプス伝達におけるCa^<2+>センサーと考えられているシナプトタグミンI分子に関する研究において、Ca^<2+>が結合すると思われる部位の特定を行った。シナプトタグミンI分子の特定の部位にアミノ酸置換をおこした形質変換株を用いて、神経刺激によって誘発されるシナプス伝達を詳しく調べた。このような変異は、動物が動けなくなるために、幼生致死である。そのため実験はすべて幼生を用い、パッチクランプ法によって行った。その結果、シナプトタグミンIのC2Bドメインの中で、アスパラギン酸が並んで負に荷電した部位にCa^<2+>が結合すると結論された(業績1)。2.ショウジョウバエにおける糖感受のシグナル伝達経路我々は先にショウジョウバエの糖受容体を同定し、7回膜貫通型のG蛋白結合分子であることを発表した。そこで今回はそのG蛋白の同定を行い、アデニルサイクレースにつながるGs-alphaであることを見出した。したがってこのシグナル伝達経路はcAMPをメッセンジャーとしていることがわかった(業績2)。3.自発的運動による神経筋シナプス伝達増強のメカニズム我々は以前からHeidelberg大学のSchuster教授のグループと共同研究を行っている。同グループはショウジョウバエ幼虫に自発的運動をさせることによってシナプス伝達が増強することを見出した。今回はそのメカニズムに関する研究を行い、シナプス伝達物質の増加がシナプス前終末における2つのメカニズムが継時的におこるためであることを見出した(業績3)。
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