研究課題
新たな系統保存法としてのマウス卵巣の凍結保存技術の開発・改良を進め、実用化に向けた実験システムを構築することを目的に、凍結保存に供する卵巣の条件、凍結保存液の組成、凍結および融解の条件、凍結保存した卵巣組織からの受精卵と産仔の作成、ならびにレシピエントメスへの移植条件などを検討した。1.マウス卵巣の凍結保存条件の検討:凍結・融解後の移植によって、高率に産仔を得ることができる卵巣の条件を知るために、10日齢および10週齢のメスから採取した卵巣を凍結・融解後にレシピエントメスに移植し、オスと交配して産仔の生産効率を調べた。その結果、10日齢の若い卵巣の方が良好な成績であった。また、凍結する卵巣組織のサイズは1ミリ以下が相応しいことが示唆された。(藤澤・横山分担)2.凍結保存卵巣の組織学的な解析:凍結保存する卵巣組織に対する凍結・融解操作のダメージを調べるために、ガラス化法で凍結・融解処置を施し、卵巣組織に及ぼす凍害の影響を組織学的な方法によって解析した。そこ結果、凍結操作に先立って10分間以上保存液にさらして保護剤の浸透をはかる必要のあることが示唆された。(藤澤分担)3.凍結保存卵巣からの受精卵・産仔の作成:凍結保存した卵巣の有用利用法として、凍結保存した卵巣から未成熟卵子(卵胞内卵子)を採取し、体外で成熟させるための前実験として、未凍結卵巣からの未受精卵子の採取条件を明らかにした。(佐藤・横山分担)4.卵巣移植法の確立:移植卵巣を受け入れるドナー系統と、それを受け入れるレシピエント系統との間の組織適合性を考慮する必要があり、適合性が合っていないと移植された卵巣は短期間で拒絶されてしまうことから、レシピエント系統としてT細胞およびB細胞の複合免疫機能不全を呈するSCIDマウス(遺伝的背景はBALB/c系であるCB-17系)を使用することによってこの問題を解決できることを明らかにした。(佐藤・横山分担)
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Nat Genet. 38
ページ: 101-106
Biochem.Biophys.Res.Commun., 328
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