研究概要 |
Hagマウスはkeratin2-6gに挿入配列が入ることによって起こった突然変異で遺伝様式は半優性から劣性に変化して挿入配列が短縮していたが、挿入配列長の変化する機構は不明である。Hagマウスの交配試験により挿入変異配列長の変化を親子で調べ、配列長の伸長または短縮の有無を調べた。C3H/HeN-Hagのホモ型維持系統とヘテロ型維持系統を用いた。遺伝子型はkeratin2-6gの第1エクソンの挿入配列を挟むPCRプライマーを設計し、尾から抽出したDNAを鋳型にPCRを行った。PCR産物は4%ヌシープゲルにて電気泳動して親仔における挿入配列長の変化を調べた。その結果、Hag alleleからは約510bpの断片が、劣性hag alleleからは約420bpの断片、野生型正常マウス(C3H)からは約75bpの断片が増幅された。さらに、中間的サイズのh1およびh2アレル(H>h1>h2>h)を有する仔マウスも検出された。H/HxH/Hの交配からはhlやhなどの短縮型のalleleが生成した。さらに、H/hxhl/hの交配よりH/H個体が生まれたことから、この挿入変異ではh1またはhからHへの伸長も起こっている可能性が示された。さらに、ウェーーブ個体(H/+)でH, h1およびhの3本のバンドを示す個体が見つかり、体細胞レベルで挿入配列の短縮が起こる可能性も示唆された。これら各アレル断片の塩基配列を決定した結果、配列長の変化は第1Tリピートで最も顕著であったが、TAリピートと第2Tリピートでも変化が起こることが見つかった。
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