研究課題
本研究では、非インスリン依存性糖取込メカニズムの一つと考えられている、交感神経系を介した糖代謝機能の人工的制御の可能性を検討することを目的としている。本年度は末梢交感神経賦活の及ぼす(1)血液糖代謝パラメータや(2)筋組織内グリコーゲン及びトリグリセリド含有量への効果の解析を進めると共に、(3)グルコーストランスポータタンパク並びに遺伝子発現量の検討を開始し、さらにできれば(4)インスリン受容体発現量の検討開始も予定していた。結果としては、(3)までは下記のようにほぼ順調に進めることができたが、(4)については時間的に難しく、来年度に開始することとした。1.ラット片側坐骨神経内交感神経信号を導出した電極による電気刺激の結果、血漿インスリン濃度の変化を伴わない一過性の血糖値低下が誘発できることが明らかとなった。現在刺激モードなどの最適化を進めている。(中村、野村、楠、大学院学生)2.刺激側および対照側の数種類の筋組織内グリコーゲン及びトリグリセリド含有量を測定した。このデータはばらつきが大きく、まだ結論を得る段階には至っていない。さらに脂質と糖代謝系の密接な関係を考えて、肝及び筋組織内脂肪酸組成の及ぼす影響も検討すべくデータの取得を開始した。(中村、楠、大学院学生)3.肝及び筋組織内GLUT1及び4遺伝子発現の定量法を確立し、データの蓄積を開始した。タンパク発現には、ウェスタンブロット法よりも小サンプル量で測定可能なフローサイトメトリ法を検討したが、残念ながらこの方法は我々の目的には利用が難しいことが分かり、断念した。このため、若干進行が遅れている。(中村、野村、大学院学生)上記のように、本研究は若干の遅れはあるものの、ほぼ順調に進んでいると考えている。来年度(最終年度)はタンパクレベル以下のデータも含めて研究をまとめる予定である。
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自律神経 43・6(印刷中)
生体医工学 44・Suppl.1
ページ: 311
糖尿病 49・Su. lppl
ページ: S-273
自律神経 43・2
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第19回ニューログラム研究会抄録集
ページ: 1
第59回日本自律神経学会総会抄録集
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