研究概要 |
本年度は,内因性信号測定系を用いた信号測定,フルフィールドOCTによるラット脳の測定,両融合システムでの内因性信号とOCT画像測定との同時測定を試みた. まず,法律改正に伴いキシラジンからネンブタールへの使用麻酔薬の変更に伴い構築した内因性信号測定系を用いて再現性よく内因性信号が得られることを確認した.ラット脳を用いた測定では,基本的にはOCTでの測定でも,頭蓋骨を薄く150μm程度に研磨して行っている. 次ぎに,麻酔下のin vivoと安楽死後のin situでのラット脳の断層画像の測定と比較をフルフィールドOCTで詳細に行った.まず,フルフィールドOCTの空間分解能は,深さ分解能30μm,横方向分解能70μmであるが,組織中では劣化が生じ,1mmの組織透過で深さ分解能400μm,横方向分解能300μm程度になることを確認した.次に,OCT画像の比較では,in vivoでは研磨した頭蓋骨と脳表面の150μm程度の静脈とが確認され,静脈から下部の画像信号は検出されないが,in situでは脳表面の静脈と研磨した頭蓋骨の三次元計測が可能である.平均画像信号では,in situの画像信号はin vivoより1.4倍大きく,画像信号の平均値に対する時間変化はin vivoの方が約2倍大きいことがわかった.さらに,深さ方向プロファイルでは,in vivoでは単調減少に対して,in situの場合は,深さ1.5mm辺りで画像信号が極大直を有する傾向が確認された.これは脳活性化の光計測の新たな可能性を示唆していると思われ,一連の研究成果は現在投稿中である.両融合システムでの同時測定を試みたが,現在まとまった結果はまだ得られていない.
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