研究課題/領域番号 |
17300143
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 政廣 東京大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60158954)
|
研究分担者 |
伊良皆 啓治 九州大学, 大学院システム情報研究院, 教授 (20211758)
市岡 滋 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (60306272)
神谷 瞭 日本大学, 大学院グローバルビジネス研究科, 教授 (50014072)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
キーワード | 微小循環 / 細動脈 / 酸素消費 / 血管拡張 / 一酸化窒素 / 骨格筋 |
研究概要 |
Kroghの研究以来1世紀近く、生命活動を維持する上で最も重要な物質である酸素は、拡散により毛細血管から組織へ供給されると信じられてきたが、毛細血管の前に位置する細動脈においても既に血中酸素濃度は低下しており、かつ細動脈壁で大きな酸素濃度勾配が存在することが明らかになった。これは、毛細血管のみが唯一酸素供給の場ではなく、細動脈も組織への酸素供給源として機能している可能性を示唆するものである。しかし、この細動脈での血中酸素濃度の低下を、組織への酸素拡散のみで説明しようとすると、細動脈血管壁内での酸素拡散係数が自由拡散係数よりも大きくなるという物理的矛盾が生じる。我々は、細動脈レベルでの血中酸素濃度の低下に、細動脈の仕事に伴う血管壁の酸素消費が影響しているのではないかという仮説を提唱し、この仮説を実験的に証明するため、微小循環領域での酸素分圧を実測、得られたデータを基に細動脈血管壁での酸素消費率を求め、酸素濃度勾配形成と細動脈血管壁での仕事量の関連を検討した。血管内外の酸素濃度勾配より求めた骨格筋細動脈血管壁での酸素消費率は、下流側細動脈より上流側で、さらには血管拡張時(血管平滑筋弛緩時)より通常時の方が高値を示し、血管平滑筋の仕事量に依存していることが明らかになった。また得られた酸素消費の値は、これまでのin vitro実験系による報告値より遙かに大きく(100倍以上)、細動脈での酸素濃度勾配の形成に強く関与していることが分かった。さらに運動生理や病態生理との関連について内皮細胞由来の血管拡張物質である一酸化窒素(NO)との関係を調べた結果、運動時の血流増加によるNO依存性血管拡張は、血管壁自身の酸素消費を低下させ効率的な組織への酸素供給を可能とする半面、NO産生能低下時の血管収縮は、血管壁での酸素消費を増加させ組織の低酸素化を招く危険性のあることが示された。
|