研究課題
本研究では自己組織化ナノゲル法をさらに発展させ、構造制御された新規ナノゲルの設計法の確立、およびナノゲルをビルディングブロックやテンプレートとして活用し、ナノ構造制御された機能性ヒドロゲルの設計法(ナノゲル工学)を確立し、新規バイオマテリアルへの応用展開を目的とした。前年度においては、1.生理条件下で調製可能な生分解性ナノゲル架橋ヒドロゲルの設計と分解挙動、2.ナノゲル-Qdot複合体の形成機構と細胞内取り込み挙動の検討3.ナノゲル-リン酸カルシウム複合微粒子調製法の確立を行い、それぞれ今後の有用な展望を見いだしている。本年度は主に、ナノゲル架橋ゲルへのタンパク質への取り込みと放出挙動および分子シャペロン活性評価、および塩基性ナノゲルと核酸との複合体形成について検討を行った。ナノゲル架橋ゲルは、ナノゲルを架橋点に有していることから、架橋点にタンパク質を効率的に内包可能であることを見いだした。内包されたタンパク質は持続的に放出させ得ること、またシクロデキストリンの添加により内包したタンパク質を急激に放出させることが可能であった。この結果を基にナノゲル架橋ゲルの分子シャペロン活性をモデルタンパク質(炭酸脱水素酵素など)の化学変性からのリフォールディング活性により検討したところ、有効に機能し得ることを明らかとした。今後タンパク質リフォールディングカラムとしての展開が期待される。一方でカチオン性アミノ基を有するCHPナノゲルとプラスミドとの相互作用をゲル電気泳動法およびAFM観察により調べたところ、カチオン性CHPナノゲルは種々のプラスミドと複合体を形成し100nm程度の微粒子を形成すること、さらにはシクロデキストリンを複合体に対し添加すると、複合体が解離することを見いだした。このことはDNAの動的構造制御への利用が期待される。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (3件)
Langmuir 23・1
ページ: 217-223
FEBS Lett. 580
ページ: 6587-6595
日本臨牀 64
ページ: 215-220
現代化学 428
ページ: 30-35
J. Bioact. Compat. Polym. 21
ページ: 487-501
Clin Cancer Res. 12
ページ: 7397-7405