研究概要 |
[1]マイクロ波イメージングの研究 四肢の実時間計測が可能な初めての実測用チャープパルスマイクロ波CTを試作した.周波数は2〜4GHzの範囲で任意帯域,任意掃引時間の計測が可能である.商用機とは計測回路が一つでアンテナ数だけ備えていないため,スイッチによる切り替えで計測を行うが,ヒト四肢を7分程度以下の時間でイメージングできる.センサ部分である受信アレイアンテナは損失媒質中でも完壁なアンテナとして機能する受信アンテナの設計に成功したため,予定を変更し,引き続き開発試作を続行中である.生体画像の復元に利用する最適点拡がり関数を求め,実測データの処理に備えた.実例として,果実の糖度イメージングにおける画像復元実験を行い,顕著な復元効果が得られることを示した. [2]光断層イメージングの研究 健常者の前腕と下肢の筋運動を観測の対象として,筋疲労と酸素化状態の関係を見いだすべく,筋電図による筋運動のリアルタイムモニタ下に,光拡散イメージングの基礎実験を行った.男性の場合,被験者の太い骨による光散乱,量的に富む筋肉による光吸収により断層イメージング自体が難しい状況に遭遇したが,女性ではグリッパー運動による手首の酸素化状態変化が画像として明瞭に可視化された. [3]実験プロトコルの検討 最終的にはリハビリテーション効果や高齢者の適切なトレーニング法を見いだす目的で新たなイメージング手法を開発しているが,当面は健常者の四肢の運動による生理学的影響を画像により観測する方法を確立する.マイクロ波CT画像,光断層画像,筋電図計測データの相関解析のため,観測部位の第一義的対応関係を求めるため,MRI撮影を同時に行い,相互関係を明確化する実験手法について相互討議により検討を行った.
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