研究概要 |
グリップを5分間握り続ける負荷を腕の筋肉に与え,前腕に貼付した電極により筋電図と酸素モニタによる組織の酸素化状態を記録,同時に光拡散イメージングを試みた.同様に,運動負荷のある場合とない場合,マイクロ波CTにより当該部位の断層撮影を行った.筋電図と酸素モニタにより観測された被験者2名の反応は何れも筋肉の典型的活動状態を示しており基本的には類似した傾向を示したが,一定バネ強度の負荷では筋肉に疲労現象が発現する場合と発現しない場合とが生じ,両者では画像情報も異なったものの,違いを明確に定量化するまでには至っていない. マイクロ波CT画像ではグリップ負荷のある場合とない場合の断層撮影を行い両者の画像を比較した.変化は微小で目視による影響評価は困難で差分画像を求めたが,筋力の有無により前腕断面形状が変化するため,近似的な差分画像で評価を行った.それにも関わらず,この近似的差分画像からは運動に関わらない骨の部位と運動に関わる筋肉組織領域の区別が可能で,運動による筋肉組織の状態変化はマイクロ波CT画像に反映されることを確認した. 光拡散イメージングではグリッピングにより外側の筋肉が活性化され,動脈の酸化ヘモグロビンが増加するほか,筋肉組織領域でも酸素化ヘモグロビン増加の傾向が観測された.また,当然のことながら酸素モニタでも対応部位で発現している組織酸素化状態の変化が確認された. 結論として,グリップ程度の運動でも筋肉組織に起こる疲労現象などの生理学的変化をマイクロ波イメージング,光断層イメージングによって画像化することができた.本手法をリハビリテーション効果判定に利用すると目標とする筋肉組織が正しく活性化されているか否かの判定が可能である.ただし効果の定量評価にはさらに計測精度の向上が必要である.
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