研究課題
前年度の研究より、Twist-1がSmadとの相互作用を通じてBMPシグナルを抑制し、骨分化を抑制すること、そのsiRNAにより骨分化マーカーのosteopontin, osteocalcinの発現が増強し、アルカリフォスファターゼ(ALP)の活性も増加することが明らかになった。今年度はTwist-1の安定性がId1とE47により調節されていること、Twist-1がどのようにしてBMPシグナルを抑制するかを明らかにした。Twist-1の共沈実験より、E47とTwist-1の相互作用が明らかになり、E47遺伝子の発現により、Twist-1の安定性が増加することが明らかにされた。E47結合能のないTwist-1変異体を用いると、BMPシグナルの抑制効果は消失した。一方、Id1はTwist-1の分解を促し、結果的に骨分化を促進することがわかった。E47存在下でもId1の発現によりTwist-1の分解が促進されることがTwist-1のpulse-chase実験で明らかになった。次にTwist-1によるBMPシグナルの抑制機構を解明するため、Flagタッグを付けたTwist-1を安定に発現する骨芽細胞株MC3T3-E1を作成した。Twist-1をFlag抗体で免疫沈降させた分画の中に、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)1が共存すること、さらにその中にはSmad4が存在すること、がわかった。しかしSmad1は共沈しなかった。以上より、Twist-1のBMPシグナルの抑制はTwist-1がHDAC1をリクルートすることによってSmad4による転写活性化を抑制していることが原因であろうと考えられる。このことは、HDACの阻害剤であるtrichostatinを用いるとTwist-1強発現のMC3T3-E1におけるALP活性やosteopontin発現が回復することからも裏付けられた。
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