研究課題/領域番号 |
17300157
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
宮崎 香 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (70112068)
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研究分担者 |
東 昌市 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 助手 (10275076)
長嶋 洋治 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (10217995)
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キーワード | ラミニン / 基底膜 / 細胞外マトリックス / 再生医療 / 間質系幹細胞 / 軟骨 / 細胞培養 / 細胞接着 |
研究概要 |
基底膜分子のラミニンはα、β、γのサブユニットからなる糖タンパク質で、一種の生体糊として組織の構築と維持に必須の役割を果している。表皮基底膜の主要成分であるラミニン5A(Lm5A;α3Aβ3γ2)は他のラミニンに比べて非常に高い細胞接着活性と運動促進活性を示す。これまで私たちは、ラミニン5A、および新規ラミニン分子であるラミニン5B(Lm5B;α3Bβ3γ2)の安定大量発現系を確立し、それらの機能を明らかにしてきた。本研究では両ラミニンの特異な生理活性に注目して再生医療分野への応用性を調べた。 1.骨髄の間質系幹細胞(MSC)は軟骨、骨、脂肪細胞、筋肉、血管内皮などに分化する能力をもっており、再生医療への応用が最も期待される組織幹細胞の一種である。本研究では、ヒトMSCに対するLm5の効果を調べた結果、Lm5Aが軟骨細胞への分化を強く抑制することが判明した。またLm5Aは血清含有培地および無血清培地中でMSCの未分化状態を保ちつつ細胞増殖を促進することが分かった。同様な活性はLm5Bでも得られた。現在MSCは軟骨や骨の再生への応用が期待されており、患者由来のMSCを短時間で増殖させる技術が求められている。今回の結果からLm5A/BがヒトMSCの増殖促進因子として有望であることが示された。 2.L,m5Aは強い細胞運動活性をもち、皮膚の創傷治癒において重要な役割を果たしている。Lm5Aがin vitroのスクラッチ検定で創傷治癒活性を示したことから、マウスを用いる皮膚創傷治癒検定を行った。しかし、現時点では明確な効果は得られていない。今後Lm5Aの投与方法についての条件検討が必要である。 3.新規ラミニン分子であるLm5Bの生理機能を明らかにするために、特異抗体を作製し、その組織分布を調べた。その結果、Lm5Bが上皮基底膜に加え、血管基底膜に存在することが明らかになった。
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